第4回 病院長のゆかいな仲間たち

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病院長×リハビリテーション科
岐阜大学附属病院 小倉 真治 病院長
理学療法士 愛宕 良彦
作業療法士 桝田 臣弘
言語聴覚士 山中 真理奈

リハビリの専門職 早期リハに全力

小倉 リハビリテーションの専門職である理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の仕事について、あらためて聞かせてください。

愛宕 理学療法士(Physical Therapist=PT)は、「寝る」「起きる」「座る」「立つ」といった基本的動作や、「歩く」という歩行能力を改善させるために、関節の運動をしたり、筋力のトレーニングをしたり、バランスの練習をするなど、さまざまな動作練習をしています。岐阜大学病院では、脳卒中などの脳血管障害だけでなく、整形外科や小児科、皮膚科や呼吸器内科、救急など幅広く、手術後のリハビリにも介入していきます。主治医の先生から、療養のために体を動かさないで安らかにしている度合いを示す「安静度」が上がれば、できるだけ早く体を起こして、早期離床に努めています。

桝田 作業療法士(Occupational Therapist=OT)は、脳梗塞や整形外科疾患など、身体機能障害を持った方々に、機能訓練に加えて、日常生活の不自由さを感じている方にリハビリをしています。例えば、足を骨折している方や手が使えない方が、トイレに行けたり、服を着替えられたり、食事ができるようにするための訓練や、動作を助ける自助具などを作製しています。

山中 言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist =ST)は、脳梗塞などでうまく話せなかったり、話が理解できなかったりする言語障害や、咽頭がんなどで声帯が影響を受けて声を出しにくい音声障害や、上手に噛めなかったり、飲み込めない嚥下(えんげ)障害の患者さんに訓練したり、助言したりしています。大学病院の特徴としては、補聴器で対応ができなくなった聴力障害の方に人工内耳の調整なども行っています。

◇   ◇   ◇

小倉 日ごろから大切にしていることは。

桝田 すこしでも早く身体を起こすことができるように意識しています。先生方と共通した認識として、寝ていることに一つも良いことはないと考えています。安静のためにベッドで横たわっている臥床という状態であれば仕方ありませんが、安静度を守った上で、起き上がるという離床は、回復するにあたって、大きな利益をもたらします。

愛宕 1日寝ていると、筋力が1.0~1.5%落ちるとされ、健常者でも寝ている状態が2週間続くと、筋力が落ちてしまうことが明らかになっています。筋力低下を予防できるだけでなく、肺炎など合併症のリスクを少しでも減らすことにもつながります。

小倉 共通の患者さんを診ることも多いと思いますが、先生との連携やリハビリでの連携はいかがですか。

山中 理学療法士や作業療法士の方々と協力して、少しでも次の病院に行った時に食べられるように持っていくことが自分たちの役割と思うとやりがいを感じます。

愛宕 多職種で行われるカンファレンスが定期的にありますので、わからないことをあらかじめ担当者に伝えて確認したり、時間があまりないような時は、カルテにメッセージを残したり、直接電話でやりとりしたりして、安静度を確認してリハビリを進めるようにしています。聞いたらレスポンスも早く返ってくるので、やりやすい環境です。

山中 ご家族や本人の希望もあり、絶食の方に一日でも早く食べたり、飲んだりすることを始めたい時、主治医の先生に聞きやすく、安心して取り組めています。

小倉 医師もリハビリは重要であると思っているからだと思います。皆さんからドクターに進言することはありますか。

桝田 例えば、先生にもう少し固定したほうがいいと思い、その旨を伝えた場合、しっかり聞いてくださるので、怖がらずにリハビリができています。

山中 転院が早いと、「これから声が出てきそう」という患者さんを診られないのは残念です。

小倉 医師に「あと2、3日やらせてくれたらよくなります」という意見を伝えることはあるのですか。

山中 相談させてもらうことはあります。

小倉 皆さんに手ごたえがあり、「あと2、3日は必要」という感覚があれば、伝えてもらっていいと思います。

桝田 それを言えるだけの根拠をもってやれるようにしたいと思います。

小倉 大学病院なので、データで示すというのは重要になりますね。

小倉 逆に苦労しているところは。

愛宕 退院がすごく早いので、例えば、脳外科の患者さんが、麻痺の症状が少し改善して、これからいろいろなことができるかなという時に回復期の病院に転院されるので、長期的にどれくらい良くなっていくかを追えないということがありますね。

小倉 そういう意味では、回復病棟も併設して、回復リハまでやれる「ケアミックス」が整うと完璧ですけどね。

桝田 以前は回復期の病院にいましたが、患者さんがよくなってきて、自宅に帰るというリハビリの醍醐味がありましたが、その反面、急性期でもう少し離床を早くしていれば、もっと回復が早かったのではと感じていました。大学病院では、医師も看護師も一体となって早期リハができていて、認識が変わりました。

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小倉 岐阜大学病院に勤務して、感じていることは。

桝田 手外科疾患を診るハンドセラピーに力を入れてきたので、手外科の専門医がいる大学病院はとてもやりがいを感じています。治療期間の短縮、早期の復職を目指して、早期から動かすための訓練も日々追究しています。手術も見学に入らせてもらっています。どれくらいの強さで縫ったのか、どれくらい動かしても、縫った組織が切れないかなど、術中に確認しています。その上で、自信を持って早期から動かしていくというリハビリに取り組んでいます。

愛宕 以前に在籍した職場は脳神経外科病院でしたので、一つの診療科に特化していましたが、大学病院では、他では見られない特別な疾患もあり、オールマイティーなため、毎日が勉強ですが、やりがいのある仕事だとあらためて感じています。

山中 いろいろな患者さんや疾患を診させていただきましたが、NICU(新生児集中治療管理室)にいる赤ちゃんのリハビリをするとは思っていませんでした。最近では、がんのリハビリテーションも始まり、範囲が広がり、勉強させてもらっています。

小倉 以前から頑張っているのは知っていましたが、さらに頑張っているのを感じました。これからもチームの一員として頑張っていきましょう。

【理学療法士とは】
自立した日常生活が送れるよう支援する医学的リハビリテーションの専門職。「寝返る」「起き上がる」「立ち上がる」「歩く」などの日常生活を行う上で基本となる動作の改善を目指す。関節可動域の拡大、筋力強化、麻痺の回復、痛みの軽減など運動機能に直接働きかける治療法から、動作練習、歩行練習などの能力向上を目指す治療法まで、動作改 善に必要な技術を用いて、日常生活の自立を目指す。

【作業療法士とは】
身体が不自由な人や精神に障害のある人をさまざまな作業を通じて治療、訓練し、社会復帰ができるように手助けする。運動や感覚・知覚、心肺や精神・認知などの心身機能に関する「基本的動作能力」、食事やトイレ、家事など日常で必要となる「応用的動作能力」、地域活動への参加、就労・就学などの「社会的適応能力」を維持、改善し、「その人らしい」生活の獲得を目標にしている。

【言語聴覚士とは】
「話す」「聞く」「表現する」「食べる」などの障害に対して訓練や指導、助言などを行う専門職。脳卒中後、うまく話せない、話が理解できない、文字が読めないといった「言語障害」、咽頭がんなどで声帯が影響を受けて声を出しにくい「音声障害」、上手に噛めない、飲み込めないといった「嚥下(えんげ)障害」など、コミュニケーションや食べる障害に対応している。人工内耳の調整なども行う。

【過去の様子】

第一回 病院長×保安職員

第二回 病院長×医療ソーシャルワーカー

第三回 病院長×誠仁会

▲愛宕 良彦
▲愛宕 良彦
▲桝田 臣弘
▲桝田 臣弘
▲山中 真理奈
▲山中 真理奈
▲小倉 真治 病院長
▲小倉 真治 病院長