第2回 病院長のゆかいな仲間たち

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病院長×医療ソーシャルワーカー
岐阜大学附属病院 小倉 真治 病院長
医療ソーシャルワーカー 澤﨑 久美子 多田 真

患者、家族の要望をいち早く実現に導く

小倉 1日はどのようなスケジュールで仕事しているの。
多田 朝8時半からソーシャルワーカー内でスケジュールの確認を行って、前日に関わった患者さんの申し送りをします。そのほか、患者さんやご家族と面談したり、電話相談したり。転院調整の話だけでなく、社会保障制度や社会福祉制度の話をしたり、行政機関などからも電話が入るので、あっという間に1日が終わってしまいます。
澤﨑 毎日、各病棟のカンファレンスにも行っています。事前にカルテを見て、患者さんの情報をキャッチしています。先生や看護師さんとコミュニケーションを図れますし、積極的に情報収集して、安心して治療に専念していただけるようにと常に考えています。
小倉 仕入れた情報にずれはあるの?
澤﨑 専門職としてそれぞれの視点に違いがあるため、例えば、在宅サービスの利用状況について、新たな情報を得ることはあります。
小倉 今は何人で活動して、どれくらいの患者さんに関わっているの?
澤﨑 10月1日から5人となりました。2人の時は年間延べ4500件から5000件と関わりました。
小倉 患者さんが転院するにあたって、どういう形で交渉するのか知りたいな。
多田 治療が落ち着いてきて、今後、日常生活に戻っていくために、患者さんの今の状態やご家族の状態など、生活状況全般について情報収集をします。例えばリハビリ転院の場合、「何を目標にリハビリをしていくのか」等を見立てていくところから始まります。
小倉 顧客シートみたいのを作るの?
多田 まずは口頭で転院先の担当者に相談します。その後に、ADL(日常生活動作)や経過、必要な医療行為などが分かるような、岐阜地域で統一して使っている用紙を送っています。
小倉 ファクスせず、口頭で伝えるというのは、どういうところがいいの。
多田 例えば、トイレで一部介助が必要と書いてあっても、実際にどのような介助が必要なのか分かりません。ペーパーでは見えない生活背景や家族関係などを伝えていくこともできます。そのようなことを伝えるのもソーシャルワーカーの役割だと思っています。
小倉 何?澤﨑さん、異論ありそう。綺麗すぎる?
澤﨑 基本的にはその通りです。日ごろ言っていますのは、転院の相談をしていく上で大事なことは、転院先の病院に振り向いてもらうために、どのようなメリットがあるのかということをまず前面に打ち出していきます。それによって、家族環境を先に伝えるのか、ADLを先に伝えるのか、医療費的なことを伝えるのか変わります。
小倉 それは、SBARと言って、ナースや医療スタッフが情報を伝えるのに必要なことのまず一番目。つかみが大事ということと一緒だね。
澤﨑 なるべく患者さんや家族が希望する病院で診ていただきたいので、先生方からご連絡をいただいた病院に加えて、「この病院はどうでしょうか」とお話しさせていただいています。そうすることで、転院する希望先の選択肢が広がるようにしています。
多田 ご家族との関わりの中で気をつけていることは、ご家族と患者さんの希望、医療者の考えにずれがある時に、誰かの意見を優先するのではなく、十分に話し合いをするように心掛けています。特に急性期の患者さんは在院日数が短いため、コミュニケーションを図れる機会が少ないので。
小倉 ついつい見逃しがちだね。
澤﨑 家族関係もさまざまです。ご家族が遠方にいらっしゃるという方も多いんです。病棟スタッフと共に、私たちソーシャルワーカーも家族構成や介護状況などの情報を、関わりの中でキャッチしながら、先生や病棟とも協働し、率先してやっていかないといけないと思っています。そして、当院は長期で入院できないことが大前提にありますので、転院や自宅に帰っていただくにあたり、私たちの関わりが遅かったことにより、適切な時期での退院ができないということはあってはいけないと思っています。
小倉 そういう努力が、日本国内の大学病院の中で、うちが最も在院日数が短いことにつながっていると思います。
多田 病院長から見た岐阜大学病院の強みを聞きたいです。
小倉 大学病院は基本的に診療科ごとの縦割りが多いけど、岐阜大学病院は高次救命治療センターが横串を大きく入れているので、風通しがいい。特に現場レベルではいい病院だなあと思っています。
多田 患者さんにとっても有益なことですよね。
小倉 病院長としては、「最高の患者サービスを提供する」。その一言をどれだけ行っているか、ずれがないようにできるかというところを一番大事にしています。座談会を開いてみてどうだった?
多田 どら焼きの先生とか、本で読んでいる先生とか、遠くから見ていた小倉先生とお話しできてうれしいし、少し身近に感じさせてもらいました。
澤﨑 この時間を振り返ってみると、小倉先生の、院長である前に、医師としての原点を伺うことができて良かったです。
小倉 二人がやっていることは、まさに岐阜大学病院の一丁目一番地にある「最高の患者サービスを提供する」ところの入口と出口を支えていただいています。これからもよろしくお願いします。

【医療ソーシャルワーカーとは】
保健医療機関において、社会福祉の立場から患者さんやその家族の方々の抱える経済的・心理的・社会的問題の解決、調整を援助し、社会復帰の促進を図る業務を行います。具体的には、(1)療養中の心理的・社会的問題の解決、調整援助(2)退院援助(3)社会復帰援助(4)受診・受療援助(5)経済的問題の解決、調整援助(6)地域活動を行っています。


【過去の様子】
第一回 病院長×保安職員

▲澤崎久美子
▲澤崎久美子
▲多田真
▲多田真