
2026年4月、岐阜大学医学部附属病院の新病院長に清水雅仁先生が就任。
消化器内科学の教授として最前線で診療にあたり、副病院長として病院運営や医療安全にも深く携わってきた清水病院長。
患者さんや地域社会との「対話」を何よりも大切にする新しいリーダーが、2030年に向けた病院のビジョンを語ります。
この「特定機能病院」を掲げるためには、十分な数の医師や看護師の配置はもちろん、最新医療機器の整備といったハード・ソフト両面での充実が不可欠です。他の医療機関では対応が難しい高難度治療を要する症例や、多くの合併症を抱えた患者さんなど、極めて困難な病態に対しても、責任ある治療を完遂することが求められている病院であることを自覚するとともに、誇りを持って医療に取り組んでいます。
これまでも当院は、医師、看護師、メディカルスタッフ、そして事務職員を含む約2,000人の職員が協力し、互いに支え合いながらチーム医療を実践し、より良い病院を目指し続けてきました。長年築き上げてきた素晴らしい風土と文化を大切に継承しながら、どのような難症例に対してもチーム一丸となって、常に最善の治療を提供していくことが求められます。

個々の診療科だけでは解決が難しい課題に対しても、当院が有する多様な専門性と機能を集結することで、患者さん一人ひとりを支える体制を整えています。 多職種が連携して生み出すチーム医療の総合力こそが、当院の真の底力であると確信しています。
救急医療に関しては、ホットライン体制のさらなる充実を図るとともに、救急車の受け入れ態勢や、ICU(集中治療室)、ACCC(高次救命治療センター)の病床数といったハード面についても、現在のニーズに合わせて着実に整備・見直しを進めていきます。
また、言うまでもなく教育・研究は、診療と並んで大学病院が果たすべき大きな使命であり、どちらが欠けても成り立ちません。岐阜県唯一の大学病院である当院は、優れた人材を育成することはもちろん、将来の標準治療そのものをここ岐阜から創り出していくという気概を持っています。若手の皆さんには、大学病院という恵まれた環境を存分に活用し、人として、そしてプロフェッショナルとして大きく飛躍してほしいと願っています。
私たちの視線は常に、手術や治療の成功そのもの以上に「患者さんが元気に住み慣れた地域やご自宅へ戻ること」に向いています。治療を終えた後のリハビリはどう進めていくのか、地元のかかりつけの主治医ととどう連携していくのか。入院前の段階から退院後の生活を見据え、早期退院や転院も含めた一連の流れを切れ目なくつなぐ「ペイシェント・フロー・マネジメント (PFM)」を徹底することで、患者さんやご家族、そして地域の皆さんが、安心して当院に身を任せられる体制を充実させていきます。
高度急性期を担う大学病院と、慢性期やリハビリテーションを担う地域医療機関との連携と機能分化を徹底し、患者さんが一日も早く「いつもの暮らし」に戻れる医療。2040年に向けて、テクノロジーと人の温かさが共鳴する新しい病院のあり方を創り上げていくことで、地域の皆さんに安心を届けてまいります。
まず「品位」ですが、医療人には相応の人格を備えて礼儀正しく振る舞うこと、品格が求められます。そして、プロフェッショナルとして、患者さんのため、病院のために何ができるかを絶えず追求する「情熱」を持たなければなりません。さらに、医療は決して一人では成し得ないものですから、チームワークを重んじる「結束」は欠かせません。また、命を預かる現場においてルールを守る「規律」は、医療安全の根幹を支える重要なものです。最後に、患者さんはもちろん、共に働く同僚や多職種のスタッフを敬う「尊重」の気持ちがなければ、医療機関は成り立ちません。
こうした精神が自然と組織に浸透し、すべての医療従事者が高い志を持って行動する文化を醸成すること。それこそが、患者さんや地域社会から真に「信頼される病院」を作り上げることにつながるのだと信じています。患者さんから、地域から、そして共に働く職員の間でも、常に信頼を基盤とした関係を築いていくことが、私たちのすべての活動の原点です。
私は、岐阜大学医学部附属病院を、患者さんが治療を終え、地域や自宅へ戻られる際に、「この病院を受診して本当によかった」と心から思っていただけるような場所にしたいと切に願っています。それと同時に、職員にとっても「ここで働きたい」、「ここで働けてよかった」と誇りを持てる場所でありたい。そのためには、患者さんからの信頼、そして職員同士の信頼、地域の方々からの信頼が欠かせません。そのすべてがそろってはじめて、私たちは「最後の砦」としての使命を果たし、持続的に発展していくことができるのだと信じています。
消化器内科学の教授として最前線で診療にあたり、副病院長として病院運営や医療安全にも深く携わってきた清水病院長。
患者さんや地域社会との「対話」を何よりも大切にする新しいリーダーが、2030年に向けた病院のビジョンを語ります。
岐阜県全体の医療を支える「最後の砦」としての責任
岐阜大学医学部附属病院は、岐阜県内唯一の大学病院であり、唯一の特定機能病院という極めて重い責任を担っています。この「特定機能病院」を掲げるためには、十分な数の医師や看護師の配置はもちろん、最新医療機器の整備といったハード・ソフト両面での充実が不可欠です。他の医療機関では対応が難しい高難度治療を要する症例や、多くの合併症を抱えた患者さんなど、極めて困難な病態に対しても、責任ある治療を完遂することが求められている病院であることを自覚するとともに、誇りを持って医療に取り組んでいます。
これまでも当院は、医師、看護師、メディカルスタッフ、そして事務職員を含む約2,000人の職員が協力し、互いに支え合いながらチーム医療を実践し、より良い病院を目指し続けてきました。長年築き上げてきた素晴らしい風土と文化を大切に継承しながら、どのような難症例に対してもチーム一丸となって、常に最善の治療を提供していくことが求められます。

多職種連携による総合力で専門機能を強化
各診療科の専門性をさらに磨き上げることはもちろんですが、診療科という枠組みを超えて多職種が密接に連携する「センター化」についても、今後一層推進していく考えです。これまでも「岐阜県脳卒中・心臓病等総合支援センター」や「がんセンター」、「ロボット支援手術センター」のほか、新たに設立された「肥満症治療センター」が順次稼働しています。個々の診療科だけでは解決が難しい課題に対しても、当院が有する多様な専門性と機能を集結することで、患者さん一人ひとりを支える体制を整えています。 多職種が連携して生み出すチーム医療の総合力こそが、当院の真の底力であると確信しています。
救急医療に関しては、ホットライン体制のさらなる充実を図るとともに、救急車の受け入れ態勢や、ICU(集中治療室)、ACCC(高次救命治療センター)の病床数といったハード面についても、現在のニーズに合わせて着実に整備・見直しを進めていきます。
-
さらに、次世代医療の先頭に立つ取り組みとして、私が今注目しているのが「セラノスティクス」です。これは治療(Therapy)と診断(Diagnostics)を融合させた新たな医療概念で、がん治療の領域で現在大きな潮流を生み出しています。例えば前立腺がんの治療において、がんにしか現れない抗原をターゲットにし、放射性物質を用いてピンポイントで攻撃する核医学治療PSMA診療)は、2026年1月に県内初の実施施設として運用が始まりました。これまで培ってきたさまざまながんに対する治療実績に加え、さらに高度ながん医療をいち早く導入し、患者さんに届けていくことは、県内唯一の大学病院に課せられた使命でもあります。最先端医療を提供するためには、最新の機器や設備だけでなく、高度な専門性を持つメディカルスタッフの存在と、複数の診療科の垣根を越えた連携が欠かせません。そして、常に学び続け、新しいことに挑戦し続けるその情熱こそが、未来の医療を切り拓く原動力になっていくのです。
メディカルDX推進とスマートホスピタル構想
広大な岐阜県において、メディカルDXのさらなる推進も、引き続き急務の一つだと位置付けています。AIやICTを積極的に導入し、個人の診療情報やバイタルデータなどのPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)を活用することで、診療サポート体制をより一層強化していきます。オンライン診療の充実はもちろんのこと、遠隔地の病院と大学病院をリアルタイムでつなぎ、専門医が即座にサポートできる遠隔ICU構想も進めています。2023年の電子カルテ更新を経て、今後はAIによる検査管理や教育支援ツールの開発などをさらに進め、時代に即した「スマートホスピタル」を目指していきます。また、言うまでもなく教育・研究は、診療と並んで大学病院が果たすべき大きな使命であり、どちらが欠けても成り立ちません。岐阜県唯一の大学病院である当院は、優れた人材を育成することはもちろん、将来の標準治療そのものをここ岐阜から創り出していくという気概を持っています。若手の皆さんには、大学病院という恵まれた環境を存分に活用し、人として、そしてプロフェッショナルとして大きく飛躍してほしいと願っています。
柳戸地区をサイエンス&メディカルリサーチの発信地に
研究を推進し高度医療技術を開発するためには、当院が立地する岐阜市柳戸地区のポテンシャルを最大限に活かすことが重要です。このエリアには、医学部、工学部、応用生物科学部に加えて、岐阜薬科大学も隣接しており、「医・薬・獣・工・農」が緊密に連携できるという、全国的に見てもかなり稀有な環境が整っています。周辺との連携で可能性を広げながら、人のみならず動物の疾病に関する研究、あるいは人獣共通の薬や治療法の開発といった、岐阜ならではの新しい価値を創出するため、当院をその核に据えて進めていきたいと考えています。
患者さんが一日も早く、通常の生活に戻れる医療を
85歳以上の高齢者が急増し、現役世代が減少する「2040年問題」を見据え、厚生労働省は昨年、医療提供体制のグランドデザイン「地域医療構想2040」を提唱しました。これまでの医療は病気を治す「病院完結型」に重きを置いてきましたが、これからは役割分担を明確にし、患者さんが住み慣れた地域や日常生活にスムーズに戻れる「地域完結型」の体制構築が目標とされています。当院はこの要請に応えるため、救急・救命部門を抜本的に強化して高齢患者さんの急変や高難度手術に責任を持って対応するとともに、質の高い医療を維持するために症例や専門医を適切に集約していきます。また、地域の医療機関との協力関係を深めて急性期治療後のバトンタッチを円滑にし、重症患者さんをいつでも受け入れられる体制を維持します。私たちの視線は常に、手術や治療の成功そのもの以上に「患者さんが元気に住み慣れた地域やご自宅へ戻ること」に向いています。治療を終えた後のリハビリはどう進めていくのか、地元のかかりつけの主治医ととどう連携していくのか。入院前の段階から退院後の生活を見据え、早期退院や転院も含めた一連の流れを切れ目なくつなぐ「ペイシェント・フロー・マネジメント (PFM)」を徹底することで、患者さんやご家族、そして地域の皆さんが、安心して当院に身を任せられる体制を充実させていきます。
高度急性期を担う大学病院と、慢性期やリハビリテーションを担う地域医療機関との連携と機能分化を徹底し、患者さんが一日も早く「いつもの暮らし」に戻れる医療。2040年に向けて、テクノロジーと人の温かさが共鳴する新しい病院のあり方を創り上げていくことで、地域の皆さんに安心を届けてまいります。
すべての原点は「対話」に 安心を育む取り組み
私は、当院の理念である「あなたとの対話が創る信頼と安心の病院」という言葉を、何よりも大切にしています。対話とは、単に言葉を交わすことだけではありません。患者さんやご家族はもちろんのこと、共に働く職員同士、さらには地域の方々、そして行政や医師会といった当院に関わるすべての方々と真摯に向き合い、膝を突き合わせて思いを共有することだと考えていま す。この本質的な「対話」を軸に、信頼を積み重ねていくことこそが、安全・安心な医療を提供する大きな基盤になると思っています。-
患者さんやご家族、地域の皆さんとの「対話」について考えたとき、当院の象徴的な取り組みの一つに、私たちが力を入れている「総合患者サポートセンター」が挙げられます。入院が決定した患者さんやそのご家族に対して、看護師、薬剤師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーなどの多職種がチームで連携し、入院前の準備から、入院中の治療やケア、そして退院後の生活支援までを、シームレスにサポートしています。
私は常々、医療は入院してから始まるものではないと伝え続けてきました。手術や大きな治療を控えた患者さんにとって、その不安は外来を受診されたその時から始まっています。だからこそ、入院する前の外来の段階から、医師や看護師だけでなく多くの専門職が介入してしっかりとリスクを評価し、入院前から安心を保証する仕組みを構築したいと考えています。

人と人とのゆるぎない信頼をつなぐ岐阜大学医学部附属病院へ
個人的な話になりますが、私は学生時代にラグビーに打ち込んでいました。世界ラグビー協会がラグビー憲章で定めた「コアバリュー」には、「品位、情熱、結束、規律、尊重」という5つの言葉が刻まれています。これらは医療の世界においても、働くスタッフが身につけるべき極めて大切な資質であり、私の大好きな言葉です。まず「品位」ですが、医療人には相応の人格を備えて礼儀正しく振る舞うこと、品格が求められます。そして、プロフェッショナルとして、患者さんのため、病院のために何ができるかを絶えず追求する「情熱」を持たなければなりません。さらに、医療は決して一人では成し得ないものですから、チームワークを重んじる「結束」は欠かせません。また、命を預かる現場においてルールを守る「規律」は、医療安全の根幹を支える重要なものです。最後に、患者さんはもちろん、共に働く同僚や多職種のスタッフを敬う「尊重」の気持ちがなければ、医療機関は成り立ちません。
こうした精神が自然と組織に浸透し、すべての医療従事者が高い志を持って行動する文化を醸成すること。それこそが、患者さんや地域社会から真に「信頼される病院」を作り上げることにつながるのだと信じています。患者さんから、地域から、そして共に働く職員の間でも、常に信頼を基盤とした関係を築いていくことが、私たちのすべての活動の原点です。
私は、岐阜大学医学部附属病院を、患者さんが治療を終え、地域や自宅へ戻られる際に、「この病院を受診して本当によかった」と心から思っていただけるような場所にしたいと切に願っています。それと同時に、職員にとっても「ここで働きたい」、「ここで働けてよかった」と誇りを持てる場所でありたい。そのためには、患者さんからの信頼、そして職員同士の信頼、地域の方々からの信頼が欠かせません。そのすべてがそろってはじめて、私たちは「最後の砦」としての使命を果たし、持続的に発展していくことができるのだと信じています。
お話を聞いた人・・・
岐阜大学医学部附属病院
岐阜大学医学部附属病院
