
患者さんの「食」を支える専門職
私は現在、岐阜大学医学部附属病院で管理栄養士として勤務しています。小さい頃から食べることやお菓子づくりが好きで、食に関する仕事を意識するようになりました。高校生のときに来ていた教育実習の先生と出会ったことも転機となり、医療職として、そして栄養のプロとして、誰かの人生を支えることができるこの道に進みました。- 
 栄養管理室での仕事は多岐にわたりますが、主な業務は患者さん一人ひとりの病状や治療に合わせた栄養指導です。現在は消化器内科、血液・感染症内科を担当しており、肝疾患や化学療法中の栄養指導ではバランスの良い食事や食べられないときの食事の工夫などについてお伝えしています。数字や栄養素だけにとらわれるのではなく、患者さんの生活背景や食習慣を丁寧にうかがいながら、その方に合った方法を提案することを心がけています。
食べる楽しみを守りながら、治療を支える
患者さんにとって「食べられない」ことは大きなストレスです。中には好物を我慢しなければならない方もいます。だからこそ「これは工夫すれば食べられる」「こうすれば楽しめる」という視点を持ち、できる限り前向きに取り組める栄養指導を意識しています。患者さんとのコミュニケーションを通じて「食事が少し楽しくなった」「前より元気が出るようになった」と言っていただける瞬間は、何よりうれしいです。食事は治療の一部でもありますが、人生の楽しみの一つでもあります。その両方を大切にできるよう、日々の業務に取り組んでいます。 
チーム医療で、栄養の専門性を発揮する
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 現在は緩和ケアチームの一員として、医師や看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなど多職種のスタッフと協働しています。患者さんの状態を正しく把握し、最適な栄養管理を行うためには、チーム内外の連携が欠かせません。カンファレンスにも参加し、医師からの情報や患者さんの声を共有する中で、栄養の視点から提案できるよう努めています。
チームで患者さんに関わっているからこそ、回復して退院される姿を見たときには「自分の関わりも、少しは役に立てたのかもしれない」と胸が熱くなります。もちろん私一人の力ではありませんが、まさに管理栄養士を志したときに叶えたかった「誰かを支える」ことが、チームの総力として実現できていると感じています。
 ▲患者さんとの栄養指導のようす。一人20~30分かけてじっくりとお話します。
▲患者さんとの栄養指導のようす。一人20~30分かけてじっくりとお話します。
          学び続けることで、未来の医療に貢献したい
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 管理栄養士の仕事は奥が深く、医療や栄養学の進歩に合わせて常に学び続けることが求められます。現在、私は病態栄養専門管理栄養士、日本糖尿病療養指導士を取得していますが、他にもさまざまな専門資格が存在します。栄養管理室の先輩方は、多様な分野で専門性を発揮しながら活躍されており、その姿は私にとって憧れであるとともに、大きな目標となっています。
 ▲栄養管理室のメンバー
▲栄養管理室のメンバー
 食事は命を支える力であり、同時に人生を豊かに彩るものです。その大切さを伝えながら、医療の現場で一人ひとりに寄り添える管理栄養士であり続けたいです。
