臨床検査技師

Vol.62

2026.06.30

クローズアップ!

臨床検査技師
岐阜大学医学部附属病院で働くさまざまなスタッフの仕事内容を紹介します。


診断の根拠を支える検査のプロフェッショナル

 臨床検査技師は、患者さんの体の状態を数値や画像などの客観的なデータとして示し、病気の診断や治療方針の決定を支える医療専門職です。活躍の場は病院のほか、検診センター、検査センター、企業、研究施設など多岐にわたります。
 私は高校生の頃、漠然と「不安を抱えている誰かのために働きたい」と考え、医療の世界を志しました。自ら治療を行う立場ではありませんが、検査を通じて患者さんの役に立てること、
    そして医療の根拠を支える重要な役割であることに魅力を感じ、臨床検査技師の道を選びました。当院を志望したのは、患者さんと直接関わる機会を大切にしながら、大学病院ならではの多様な症例に触れ、将来的には研究活動にも挑戦したいという思いがあったからです。
     現在は検査部の循環生理検査部門に所属し、主に心電図や心臓超音波(心エコー)検査を担当しています。心エコーは、リアルタイムで心臓の動きを観察できる極めて重要な検査ですが、実は術者の知識や技術によって見え方が変わる、非常に奥深い世界でもあります。短時間で質の高い検査が求められる現場で、「見落としは許されない」というプレッシャーは常にありますが、自分の導き出した所見が治療の決め手となり、患者さんの回復につながることに、大きなやりがいを感じています。
  ▲技術と知識が問われる心エコー。患者さんの負担を
 最小限に、かつ迅速で正確な検査を追究。


学び、究め続けることで患者さんの力になりたい

     医療のガイドラインは絶えず更新され、技術の進歩に終わりはありません。現在は心臓分野の探求に注力しており、日々の臨床で感じた疑問を研究につなげたいと考えています。2025年9月には、自身の研究演題が米国心エコー図学会(ASE2025)に採択され、発表を行う機会をいただきました。テネシー州ナッシュビルの大きな会場で、世界の第一線で活躍する専門家の方々に囲まれての発表は、私にとって大きな財産となりました。「患者さんを救いたい」という情熱は世界共通なのだと肌で感じ、より一層、検査の精度を追究したいという思いを強くしました。こうした貴重な挑戦ができるのは、背中を押してくれる大学病院という恵まれた環境、そして温かい先輩方や先生方の支えがあってこそです。
  ▲2025年9月に開催された米国心エコー図学会(ASE2025)での様子。キャリア3年目での採択は快挙。


待ち時間軽減の実現に向けて チームで考えた仕組みづくり

 技術の研鑽と同時に、検査の待ち時間の改善にもチームで取り組みました。以前は心エコーの予約枠が常に埋まっており、不安を抱える患者さんを長くお待たせしたり、医師との調整に多くの時間を割いたりと、非効率な運用が課題となっていました。そこでチームで知恵を出し合い、業務フローを徹底的に見直しました。
 具体的には予約枠を従来の約2倍に拡大し、当日検査用の枠を新設。その結果、多くの患者さんを受け入れられるようになっただけでなく、電話対応に追われていた臨床検査技師がより検査に集中できる環境が整いました。以前よりも効率的に検査を提供できるようになり、患者さんの身体的・精神的な負担軽減にもつながっていると実感しています。

▲岐阜大学医学部附属病院 検査部の皆さんと

     検査室を訪れる患者さんは、誰もが大きな不安を抱えています。検査中、患者さんから「ありがとう、安心したよ」という言葉をいただけることが、何よりの励みです。これからも、一人ひとりの心に寄り添いながら、いつかは心臓だけでなく全身を総合的に評価できる技師を目指し、認定資格の取得にも積極的に挑戦していきたいです。確かな検査、確かなデータで、患者さんの安心と健やかな毎日を支えていけるよう、私はこれからも学び、究め続けていきたいと思います。


お話を聞いた人・・・
岐阜大学医学部附属病院 検査部
臨床検査技師
  1. 伊藤 亜衣梨 さん