助産師

Vol.53

2023.06.29

クローズアップ!

助産師
岐阜大学医学部附属病院で働くさまざまなスタッフの仕事内容を紹介します。


産前から産後まで切れ目なくサポートします

     助産師は分娩の介助を行い、「いいお産ができた」と言っていただけることが何よりのやりがいです。しかし私たちの仕事は、それだけではありません。助産外来やパパママ教室、母乳外来や産後1カ月健診など、産前から産後にわたって、母子の継続的なケアを行っています。また当院では、助産師が婦人科疾患を抱える方の看護も担いますので、女性の一生涯に関わる職とも言えます。その他にも、子育ての悩みや不安を抱えている方を臨床心理士と協力してサポートしたり、社会的な支援が必要な場合はソーシャルワーカーと連携して対応したりと、仕事内容は多岐にわたります。
     私は中学生の頃から看護師を目指していましたが、助産師である叔母の勧めと、大学の実習で出産に立ち会った時の感動が決め手となり、卒業時に助産師の資格を取得しました。岐阜大学医学部附属病院を就職先に選んだのは、教育体制が整っていてしっかり基礎を学べることと、多様な患者さんを診る経験ができることが理由です。
     当院の特徴は一般の妊婦さんはもちろん、もともと疾患がある、あるいは出産に伴う母体の合併症リスクがある妊婦さんを多く受け入れていることです。年間約3 0 0 件の分娩を行っていますので時には予期しないことも起きますが、赤ちゃんに何かあった際はN I C U( 新生児集中治療室)、緊急の帝王切開の際には手術部と協働します。また、まれに起きる大出血などには、高次救命治療センターや放射線部と対応。当院ではこのように多職種の連携によって、より安全で質の高い周産期医療を提供しています。
 清潔感があり快適に過ごせる陣痛室です。
 分娩室は安心してお産に臨んでいただけるよう最新設備を整えています。

*助産外来...妊娠初期・中期・後期の各期に行う個別保健指導
       「助産師外来」での健診も助産師の仕事です。これは従来の助産外来とは別に2 0 2 1 年6月に開設したもので、2 0~2 4週の安定期に1回、医師が可能と判断した妊婦さんに対し、助産師が医師に代わって妊婦健診を行うものです。時間をかけて腹部のエコーを一緒に見ながら、推定体重を計測したり、赤ちゃんの性別やお腹の中での様子を説明したりします。異常がないかを確認するとともに、赤ちゃんへの愛着を深め、困ったことや疑問などどんなことでも打ち明けてもらえる場です。
       当院ではその他にも、外部のクリニックで研修を受ける機会を設けたり、県内の中学校に出張して命の授業を行ったりと、助産師のさらなるスキルアップのための取り組みを実施しています。
     助産師外来では、妊婦さんと一緒にゆっくり赤ちゃんをエコーで確認しながら、心配事があれば相談に乗っています。

      出産という育児のスタートを少しでも楽しんでほしい!

       無事に命が誕生したときの感動は何物にも代え難いものがあります。私自身もこれまでに4回の出産を経験しました。子育ての真っただ中ですので、自分の体験も踏まえ、妊婦さん一人ひとりに合った対応やアドバイスを心がけています。出産は一生のうちに数えるほどしかありません。それが妊婦さんにとって良かったと思える経験になるよう、また、出産という育児のスタートを少しでも楽しんでもらえるよう、良き相談者としてこれからも妊婦さんの心にしっかりと寄り添っていきます。

      患者さんに寄り添い、看護に取り組んでいる助産師の皆さん
       
       

      お話を聞いた人・・・
      岐阜大学医学部附属病院 看護部 助産師
      1. 船戸 千寿 さん