実績

実績

疼痛緩和

がんに伴う痛みに対しては、薬剤(オピオイオド:一般には医療用麻薬として知られている)を用いた疼痛緩和が一般的です。その他にも神経ブロックや放射線の緩和照射が有効な場合があります。これらは「がんを治療するため」のものではなく、「がんによる症状を緩和する」もので、痛みやその他の症状に対して行なわれます。これらを併用して痛みなどの症状を和らげることで、オピオイドに代表される疼痛治療薬を減らすことができます。その結果、薬剤による副作用を減らし、より生活の質を高めることを目的とします。

神経ブロック・放射線緩和照射について

緩和照射

放射線治療の緩和照射は主に痛みを伴う骨転移に対して用いられますが、痛みだけではなく、腫瘍が原因となる出血、気道狭窄、消化管狭窄、神経障害などの症状緩和にも有効です。緩和照射の治療期間は1~2週間程度です。当院では放射線治療の専門医が治療にあたっています。主治医から放射線科へ紹介があり、専門医が照射の適応を判断し、放射線治療を行っています。また、入院中には緩和ケアチームが介入し、緩和照射の適応があるかどうかを専門医に相談しています。

緩和照射治療
2023年 167件
2024年 257件

神経ブロック

一般にはあまり普及していませんが、当院では痛み治療の専門医(ペインクリニック専門医)が複数名で、対応にあたっています。県内では、がん患者さんへの神経ブロックが可能なほぼ唯一の施設です。がん患者さんへの神経ブロックは比較的早期に行う方が安全で、その後の生活の質を長期にわたって維持します。

神経ブロックの適応があるかどうかは専門医以外ではまだまだ判断できない状況です。神経ブロックの適応がない方にも、痛みの専門家がより良い鎮痛薬の使用方法を提案することができます。痛みでお困りの方は、主治医に緩和ケア外来あるいはペインクリニック外来の受診を相談してみてください。また、入院中には緩和ケアチームが介入し、神経ブロックの適応があればご本人に紹介しています。

緩和ケア外来では痛み治療に加えて、看護師が精神的サポートや生活指導なども併せて行います。医師による痛み治療のみがご希望の場合はペインクリニック外来で対応します。

医療機関からのお問い合わせにもお答えします。先ずは緩和ケア外来(058-230-7036)あるいはペインクリニック外来にご連絡ください。

2023年度 2024年度
硬膜外カテーテル埋め込み 1件 0件
神経根パルス高周波 3件 2件
舌咽神経パルス高周波 0件 3件
大腿神経パルス高周波 0件 2件
神経根高周波熱凝固 2件 3件
肋間神経エタノールブロック 1件 0件
上下腹神経叢ブロック 0件 1件
内臓神経ブロック 1件 4件
くも膜下フェノール(サドル) 0件 1件
くも膜下フェノール(胸椎) 0件 1件

小児緩和ケアについて

当院の小児科、血液・腫瘍チームでは、白血病、悪性リンパ腫、神経芽腫、脳腫瘍、骨肉腫、横紋筋肉腫などの小児がんを幅広く、専門的に診断治療しています。日本小児がん研究グループ(Japan Children's Cancer Group)に属し、日本中の小児がん専門施設と共同で研究も行っています。また日本小児血液がん学会研修施設、小児がん診療施設にも認定されています。

新規入院患者数とそのがん種について

血液疾患

2021年 2022年 2023年 2024年
白血病 2件 0件 3件 3件
悪性リンパ腫 0件 1件 1件 0件
その他 3件 9件 7件 8件
5件 10件 11件 11件

*その他の血液疾患
再生不良性貧血、ランゲルハンス細胞組織球症、血球貪食症候群など

固形腫瘍

2021年 2022年 2023年 2024年
神経芽腫 3件 1件 1件 3件
肝芽腫 0件 0件 3件 0件
脳腫瘍 5件 2件 6件 1件
骨肉腫 2件 1件 0件 0件
その他 15件 17件 11件 12件
25件 21件 21件 16件

*その他の腫瘍
頭蓋外胚細胞性腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、腎細胞癌など

がん対策推進基本計画において、「小児がん」が新たな重点項目となり、小児がん患者に対する切れ目のないフォローアップ体制の確立、患者家族支援があげられ、その中で治療中から一貫した疼痛管理、終末期ケアを含めた緩和ケアの充実が明記されました。

小児緩和ケアの特徴

こどもは成長・発達する存在であるため、医師・看護師だけではなく多くの職種の支援が必要です。臨床心理士やソーシャルワーカー、保育士や院内学級の教師といった、医療環境にあるこどもたちの心理社会的支援を担う職種が多数関わり、学校を含めた教育の環境も大切です。
両親やきょうだいといった家族支援も重要で、両親は比較的若く経済的余裕がない場合も少なくありません。またこどものケアの中心は親であり、 本人に代わって代理意思決定をする場面も多く、両親にかかる負担は大きいものです。また家族支援を考える際には、年の近いきょうだいが抱える不安や負担にも目を向ける必要があります。

緩和医療チーム介入依頼件数

2022年 2023年 2024年
18件 21件 31件

疼痛や呼吸困難など症状に対する対策、小児がんのこどもとその家族とのコミュニケーション、また小児期の終末期医療や在宅医療への関わりといったあらゆる場面において、患者さんとご家族の叶えたい希望に添うために、タイミングを逃さない支援を提供することを目標としています。

岐阜大学医学部附属病院 小児科

チーム活動

急性期病院である当院においては、終末期や臨死期に限らず早期がん患者さんにも対応しています。また、症状緩和をより短期間にはかり在宅療養につないだりする短期緩和医療にも重点を置くことを目指しています。

これらを円滑に遂行するために、医師・看護師・薬剤師・栄養士・ソーシャルワーカーからなる緩和医療チーム(コアチーム)が主治医や病棟看護師の協力を得て、身体症状、精神症状のある患者さん及びその家族に対する緩和医療を積極的に行っています。

がん看護外来では、がん関連の専門看護師・認定看護師が、がん患者さんの治療選択の意思決定支援や精神的支援を行っています。

緩和医療チームコンサルテーションの実績(PDF)