小児がんセンター

Pediatric cancer center

小児がんセンター

Pediatric cancer center

小児がんとは?

0歳から14歳までの小児期に発生するがんを「小児がん」といいます。年間、国内で約3,000人が発症しますが、成人を合わせたがんは年間100万近く発症しますので、全体のわずか0.3%と非常に少ない希少がんです。
発生数が多いものから順に、白血病、脳脊髄腫瘍、悪性リンパ腫、神経芽腫と続き、その他に胚細胞性腫瘍、軟部腫瘍(横紋筋肉腫が多い)、骨腫瘍(骨肉腫、ユーイング肉腫)、肝腫瘍(肝芽腫)、腎腫瘍(腎芽腫)など様々な種類のがんが発生します。
成人のがんは生活習慣が原因となるものが多いですが、小児がんの原因は成長・発達の過程で発生した異常な細胞の増殖と考えられ、網膜芽細胞腫(眼のがん)など一部遺伝するものもあります。多くの小児がんは遺伝性ではなく、原因も不明です。そのため、その患者さんにたまたま発生してしまったと考えられます。

小児がんのがん腫の内訳

小児がんはかつて「不治の病」と言われていたことがありますが、最近の治療の発展は目覚ましく、治癒率が向上しており、全体では8割が治るといわれています。でも、しっかりとした治療を受けることが必要です。

がんの治癒率

小児がんの治療法は?

それぞれの病気に対して、化学療法(抗がん剤の全身投与)、手術(腫瘍の切除)、放射線治療(病気のところにビームを当てる)が治療のメインです。病気によっては、造血幹細胞移植が必要な場合もあります。治療期間は半年から約1年が多く、その間は入院で治療を受けることがほとんどですが、治療と治療の間は自宅に帰ることもできます。

岐阜大学がんセンター 小児がんの治療法

病気ごとに、治療の方針はガイドライン(治療の教科書)などで決まっています。小児がんは日本でも患者さんの数が少ないため、日本中の小児がんの研究者が集まり、適切な治療を話し合っています。より良い治療成績になるように、オールジャパンで臨床試験を進めています。

当院は小児がんの専門施設です

国内には小児がんに関する様々な研究グループがありますが、当院は小児白血病研究会(JACLS)に始まり、日本小児白血病リンパ腫グループ(JPLSG)、日本神経芽腫グループ(JNBSG)、日本横紋筋肉腫グループ(JRSG)など、全ての研究グループに参加しています。
また2014年から日本小児がん研究グループ(JCCG)に参加し、小児科が中心となって、小児外科、脳神経外科、整形外科、放射線科などと連携し、多数の臨床試験を実施しています。

また小児がん連携施設(1-A)、日本血液学会専門研修施設(小児科、2021年~)、日本小児血液・がん学会専門医研修施設(2021年~)にも指定され、日本小児血液・がん学会専門医3名が常勤で在籍しています。
2010年から2024年までの新規の血液腫瘍患者数は304例で、内訳は白血病33例、悪性リンパ腫12例、組織球症26例、止血異常23例、骨髄造血異常17例、その他の血液疾患2例、脳腫瘍63例、神経芽腫20例、骨肉腫16例、ユーイング肉腫3例、横紋筋肉腫13例、肝・腎芽腫10例、胚細胞腫瘍(頭蓋以外)15例、軟部腫瘍30例、軟部肉腫などその他の悪性腫瘍13例、その他の稀な腫瘍8例でした。

小児がんセンターは、関係する診療科の医師、看護師と医療ソーシャルワーカーなどで構成されています。また薬剤部、検査部、リハビリテーション部など院内の各部門、緩和ケア部門内の小児緩和ケア部門や、がん・生殖医療外来とも連携し、治療だけでなく、身体と心のケアや妊孕性(にんようせい)温存にも対応しています。このように、院内では担当者とすぐに繋がり、迅速に対応が出来る体制となっています。

岐阜大学がんセンター 小児がんセンター

当院で行なっていることの紹介

高校生の学習支援

がん治療は半年から1年といった長い入院治療となります。そのため、これまで通っていた学校に普通通り通うことは困難となります。小中学校は院内学級が設置されているため、転校手続きを取ることで、入院中も授業を受けることができます。しかし、高校は設置されていません。
その中で、岐阜県教育委員会では入院児童生徒への教育保障体制整備にいち早く取り組まれ、当院でも平成30年から原籍高校と病院をネットで繋いだ遠隔授業を実施しています。実際、単位を取得され、卒業、大学進学された患者さんもおられます。入院後、すぐに対応しますので、お気軽にご相談ください。
(参照:岐阜県教育委員会HP、高等学校の特別支援教育

復学支援

長期の入院、外来通院でのがん治療中は、もともと通っていた学校での学習は困難となるため、小中学校では院内学級に転校します。また退院後でも感染にかかりやすい状態が続いたり、状態が不安定な場合は院内学級を利用することもあります。こうした状態が長いと、原籍校に戻る際に、学習のギャップはもちろんですが、患者さんの状態によっては、移動やアピアランス(外見)に関する配慮など、本人や家族は様々な不安を抱えています。当院ではこうした患者さんが無理なく、原籍校に戻れるよう、患者さんごとに復学支援を行なっています。具体的には、原籍校の先生と院内学級の先生、医師、看護師が集まり、本人、家族を交えて話し合い(復学カンファレンス)を実施します。これによって、お互いの不安を解消し、スムーズに復学することができています。
(参照:岐阜県教育委員会HP、長期入院児童生徒のための復学支援マニュアル

がん教育

日本人の2人に1人ががんにかかる時代となりましたが、大人も含めて正しい知識を知る機会がとても少ないのが現状です。また、がんは不治の病という誤った認識がいまだ残っているのが現状です。しかし、最近では検診などによって早期発見・適切な治療を行えば9割以上の人が治りますし、また生活習慣を整えるなどの予防も大切です。こうした正しい知識を小・中・高等学校にて学ぶことを「がん教育」と呼んでいます。岐阜県では平成30年度より、文部科学省の「がん教育総合支援事業」のモデル校にてがん教育を開始し、その他の学校でも行われています。その中で、学校教諭ではなく、医師やがん経験者が外部講師となる授業が効果的であることが示され、本部門においても、岐阜県、岐阜市のがん教育推進に積極的に関わっています。
(参照:岐阜県 学校におけるがん教育の手引きを公開します

岐阜県小児・AYA世代のがん等成育医療相談支援センター

岐阜県小児・AYA世代のがん等育成医療相談支援センターでは、小児・AYA世代(0~39歳)の相談をお受けするための専用メールを開設しました。
ご相談はメールでお受けし、相談員がご相談の内容を確認し、お返事いたします。
がんやてんかんなどの長期療養をされている方の不安や悩みを、メールで気兼ねなくご相談ください。

相談支援センター

メールでのお問い合わせはこちら

メール:shoniaya★t.gifu-u.ac.jp

※★記号を@記号に置き換えて下さい
※小児・AYA世代(0〜39歳)の方専用の窓口です

ご相談の際に必ず記入いただきたい項目
  • 氏名(患者本人、ご家族、その他(医療関係者)もご記入ください)
  • 年齢(患者本人)
  • 連絡先(電話番号)
  • 当院の受診歴
  • 相談内容(具体的にお願いします)

本センターへ送信された相談メールの受理については、原則翌日に折り返しメールで受理のご返信をします。(休前日、休日の場合は休み明けとなります。)