科長からのごあいさつ

科長からのごあいさつ

略歴

1995
大阪大学医学部卒業、同眼科入局
1996
泉大津市立病院眼科
1997
東大阪市立総合病院眼科
1999
クリーブランド診療財団・コール眼研究所 リサーチフェロー
2005
大阪大学医学部眼科 助手
2013
大阪大学医学部眼科 講師
2014
大阪大学大学院医学系研究科 先端デバイス医学寄附講座 准教授
2021
岐阜大学大学院医学系研究科 感覚運動医学講座 眼科学分野 教授

目からの情報は、人では外界からの
情報の80%以上を占めるといわれます。

すなわち目に疾患が生じ、視機能が障害をうけると、QOLが大幅に損なわれる可能性があります。眼科では、視機能に影響を与える疾患を的確に診断し、治療することを目的とします。一言に眼の病気と言いましても、結膜炎、網膜剝離、糖尿病網膜症、斜視、網膜色素変性などのよく聞く病気から、我々でもめったに出会わないような病気まで様々です。岐阜大学の眼科学分野では、この数十年、先代の山本哲也教授、先々代の北澤克明教授のもと、緑内障を中心に臨床、研究を行ってきました。緑内障は罹患されている患者の人口が多く、また失明原因の上位に入る疾患であり、今後もその治療、研究は重要です。

私自身はこれまで網膜硝子体疾患に対する外科的治療を中心に行ってまいりました。網膜硝子体疾患には、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性など様々な疾患が含まれ、その患者の人口も多いのが特徴です。当眼科学分野では、伝統のある緑内障、と、網膜硝子体疾患の特に外科的治療を中心に、他の疾患にも対応しながら、臨床、研究を進めています。
私のライフワークは網膜硝子体疾患の治療ですが、その中でも特に外科的治療を専門として参りました。単に解剖学的成功のみではなく、低侵襲手術の開発にも取り組み、術後視力も良好で、多くの患者が運転や読書が可能な視力を取り戻す、そのような手術を目指してきました。また、難治性疾患である増殖性硝子体網膜症や重症糖尿病網膜症には、最新の機器と手技を駆使し、失明回避、生活視力の獲得を目指してきました。

そのような難症例を含む多数例の手術経験および専門的な技術を生かし、手術を引き続き実施し、後進を育成し、また、伝統ある緑内障の手術加療も継承し、この手術なら岐阜大へ紹介、といわれるような施設を目指したいと思っております。さらに県全土の診療を整えることが大学の重要な責任と考えています。それぞれの病院が連携して診療にあたることができるネットワークを整備し、岐阜県全土の開業医、勤務医を中心とした病診連携も積極的に行っていければと思います。岐阜県の地域医療の拠点となり、なおかつ、前述のような施設を目指したいと考えています。

科長

坂口 裕和SAKAGUCHI HIROKAZU

岐阜大学眼科の歴史

岐阜大学眼科は明治初頭にルーツを持つ歴史ある診療科です。昭和19年から医学専門学校、昭和26年から医学部、平成16年から大学院医学系研究科として、眼科診療だけでなく、医学教育、研究に力を入れてきました。

岐阜県公立病院長 相磯 慥(明治16年4月~明治19年3月)は内科のみでなく眼科にも精通しており、内科において眼科的診療がなされていたようですが、明治18年5月に内科から眼科が分離しました。明治19年には、病院は岐阜県病院と改組され、眼科は診療科名からは一旦消えましたが、明治32年から小川剣三郎(~明治32年11月)、山崎秋津麿(明治32年11月~明治39年9月)、高橋源作(大正7年5月~大正10年6月)、天野慎一(大正10年7月~昭和19年9月)先生らが医長を務められました。

昭和19年4月岐阜県立女子医学専門学校開校に伴い、初代眼科教授として清水新一(京都帝国大学医学部卒業)が就任されました。その後、昭和26年4月に岐阜県立医科大学教授、昭和41年に岐阜大学医学部教授となり、昭和45年3月の定年退官まで25年余の間、眼科学教室を主宰されました。研究面では、頚動脈注射の眼科的応用、髄液と眼の関係を中心テーマとされていました。

昭和45年5月に早野三郎教授(名古屋帝国大学医学部卒業)が就任され、近代眼科学を他に先駆けて導入した。日本で最も早くアルゴンレーザーを設置し、マイクロサージェリーを始めました。研究はコンタクトレンズ、眼内レンズを中心テーマとしておられました。昭和58年6月に岐阜大学学長に就任され、昭和59年12月末をもって眼科教授を辞し、岐阜大学学長専任となられました。

昭和60年1月、北澤克明教授(千葉大学医学部卒業)が就任され、緑内障を核に最先端の診断、治療機器を導入し、多くのスタッフを国内外に留学させ、診療技術の向上を計られました。研究面では、緑内障に対する幅広い研究を行い、「岐阜は緑内障のメッカ」と言われるようになりました。北澤教授は、緑内障研究業績が国際的にも認められ、日本緑内障学会理事長、国際緑内障学会会長、アジアオセアニア緑内障学会会長、国際視野学会副会長を歴任されました。

平成12年10月、山本哲也教授(東京大学医学部卒業)が就任されました。平成16年の大学病院の独立法人化、大学病院の新築移転、完全電子カルテ化や大学院化に対応され、前任の北澤克明教授に引き続き緑内障を研究面での中心テーマとされ、緑内障の臨床研究をもとに国内外で活躍されました。山本教授は、そのご活躍が認められ、日本緑内障学会理事長、アジア太平洋緑内障学会会長、アジア閉塞緑内障クラブ会長を歴任されました。

歴代教授

1代目
清水 新一昭和19年4月 ~ 昭和45年3月
2代目
早野 三郎昭和45年5月 ~ 昭和59年12月
3代目
北澤 克明昭和60年1月 ~ 平成12年3月
4代目
山本 哲也平成12年10月 ~ 令和2年3月
5代目
坂口 裕和令和3年5月 ~ 現在